チャモロウです。
1990年代、『リング』や『パラサイトイヴ』といった角川ホラー小説作品が次々と映画化され、
新たなジャパニーズホラーの幕開けとなっていったとき、
ホラーマンガとして静かに脚光を浴びた作者といえば、
この方、伊藤潤二です。

【伊藤潤二『魔の断片』(朝日新聞出版)】
氏の代表的な作品は『富江』ですが、
私はそれ以外の様々な短編が大好きですね。
画力は高く、怖いシーンはこれでもかというくらい緻密な線を描きこんであるのが特徴。
また、氏の描かれる女性は非常に美しく、
ホラー漫画の展開上、いびつに醜悪に崩れていくのですが、
それがもったいないくらいなんですよね。
しかし、
絵もさることながら、
私がとくに推したいのが、その不条理なストーリー性。
以前紹介したかもしれませんが、氏の『長い夢』は最高傑作だと私は思いますね。
興味のある方は、朝日コミックスに自選傑作集が出ておりますので、
そちらで読んでみるとよいと思います。
ちなみに私が、
画力という点で、これは怖い、
と思ったものは「ファッションモデル」や「首吊り気球」(これらは上の傑作集に採録)、
それから初期の作品である「父の心」、「いじめっ娘」(これらは「伊藤潤二恐怖博物館第3巻」に採録。)、
ですかね。
さて、
今作『魔の断片(かけら)』ですが、
私的には怖くなかったですね。
内容も以前の短編集のころの方がもっと怖くて面白かったかな…。
恐怖博物館シリーズの方が勢いがありましたね。
少し残念です。
あ、ちなみに氏の作品はかなり強烈なスプラッター系ですので、
そういうのが苦手な方はご注意を。
では。
私は下の全巻持っておりますが、これは傑作ぞろいだと思います。
(双一シリーズはあまり好きではないけど)